サインの宛名をハングルで

ゴールデンウィーク中の市場は微妙。観光客が押し寄せる店や食堂は無休で店を開け、地元客が通う店は「清明」のために休業していたり。
「清明(シーミー)」とは、二十四節季の一つ。沖縄ではご先祖さまたちのねむるお墓の前で一族が集まる、お墓まいり。お供えのお重を持って家族総出ででかけます。

5月4日と5日の2日間、市場の古本屋ウララの店番をしました。いつものコーヒー屋さんは開いているけど、お昼を調達する総菜屋さんは2軒とも閉まっていて、きっと清明に行ったのですね。そういう時は、いつもと違うお昼ゴハンを買う、それも楽しみ。
東京での発売イベント(4月28日の「いきもののオト、きこえますか?」池袋オクターブハウス)から戻って、ぼーっと疲れが取れぬまま、お店番が始まりました。

絵本を最初に買ってくれたのは、本土からの家族連れの観光客。学齢前らしき男の子を連れて、「ゼツメツキグシュですって、CDもあるよ、絵本と音で答え合わせができるね」と言って、CDまで手を伸ばしてくださったのだけど、お買いもとめまではいかず。喉元まで「わたし。。作者です」と出かけた言葉を、飲み込む。まだまだ押しが足りないな、ちょっと後悔しました。
初めて自分の手で売った自分の絵本。本とお釣りを順番に手渡しながら、うれしい気持ちを噛みしめました。

2冊目は、韓国からいらした家族連れのお客さん。小さな赤ちゃんを抱きかかえたお父さんが、ニッコリとお店の前に立って、「ウララの本を読んできました」。(あっ、来た!ウララファン)

この本を読んで沖縄へ

いつもの通り「宇田智子さんは、今日はいません。ごめんなさい」。言葉を交わすうちに、「息子に絵本を買ってあげたい」とおっしゃるので、絵本の並ぶ棚を教えました。
「ゼツメツキグシュノオト」に目をとめてくださってる、、、と思った瞬間、「それ、私の本です」と口から言葉がこぼれ、「アイム・イラストレーター」と、日本語では言いよどむ言葉を勢いよく発していました。
即決で買ってくださるとこになって、サインを求められ、宛名に男の子の名前を書きました。サインに宛名を書くのは初めてでした。
ハングルの綴りをたずねるとメモ用紙に書いてくださって、それを一文字ずつ絵本に書き込みました。うれしくて、自分のサインを自ら写メ。そんな一連の作業をする、ほんのわずかの時間ですが、なんとも言えない良い空気が2坪の店を満たしてくれたように思います。

3冊目は、ウララの常連さん。地元の知り合いが買ってくれました。もちろんCDも一緒に。もう躊躇はナシ。

サインの宛名をハングルで
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