「月夜のナイチンゲール」、まだグズグズの台本とすでに描いたスライド用のの絵を数枚もって、ピアノの川津直子さんのところへ伺いました。
川津さんの楽譜は、見る人が見たら懐かしさのあまり、何十年も時間を巻き戻してしまうにちがいない、年季の入ったブルクミュラー(全音版)。これに赤帯(初級過程は赤、中級は黄、上級は青)とビニールカバーがかかっていたの。懐かしくて仕方ない。自分の楽譜はとっくにどこかへ行ってしまった。
さて、本日のピアノとの合せの話に戻ります。
アンデルセンの「ナイチンゲール」の物語を、音楽と語りとスライドの絵と、3つの方法で伝えるのが今回の音楽紙芝居。
ある感情を表現するのに、どんなに言葉を連ねるよりも雄弁に音楽が語ることもあれば、時代設定などは絵を見れば言葉の説明よりもずっと簡単。文字で書かれた物語が、脳のさまざまな場所を刺激しながら頭に入ってくるのは、気持がいいです。それは一つ間違えると、気持わるくもなるということ。
難しいと思いつつ、うまくマッチしたときは、川津さんもわたしもうれしい。楽しい2時間でした。
同時にブルクミュラーの奥深さも感じました。今回は「やさしい花」がメインですが、演奏の仕方によって、いろいろなニュアンスを表現できるのです。この点は想像以上でした。
練習曲としては、指定のテンポで弾かねばならないわけですが、わざとその指定を外して、そんなことができるのも今回の楽しいところ。
「ブルクミュラーには申し訳ないけど……」と何度も言いながら、いろいろ試してみました。そうやっていろんなアプローチにもかかわず、いろんな顔を見せてくれるところが、やっぱりブルクミュラーの魅力なんだろうな。
思ったとおり、やっぱり深い。
[おまけ]すでに全音楽譜のブルクミュラーは表紙もリニューアルされているのですが、懐かしい版を今年4月の台湾旅行で見つけました。桃園(台北国際空港のあるところ)の楽器店でふと手にとったブルクミュラーが全音版で、もちろん台湾版なのでタイトルも解説も中国語。思わず2冊買って、1冊はぶるぐ協会にお送りしました。
ぶるぐ協会のウェブサイトの下記のページには、昨年5月の「ブルクミュラー鳥ノオト展」のことを載せてくださっています。今回の杉並公会堂での「月夜のナイチンゲール」でもプチ・パネル展も行います。コンサートと合わせて楽しんでいただけるように、「やさしい花」をはじめ、演奏する曲目に合わせて絵と楽譜を展示する予定です。
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