東京の明大前にある七月堂古書部とのお付き合いは、レジで支払いの時に目に入った湊禎佳さんの詩集「青い夢の、祈り」(七月堂刊)の表紙にうっすらと浮かびあがる「リュウキュウ、そしてオキナワ」の文字に反応して、思わず「わたし沖縄から来たんです」と言ってしまったのがはじまり。
おしゃべり女は次々と、沖縄に住んで6年目ということ、夫の転勤で、それまではずっと東京で生まれて育って他所を全然知らなかったこと、東京を離れる直前まで不忍ブックストリートの実行委員をいていたこと、とりとめのない話をして、「たまに牧志公設市場前のウララっていう古本屋さんで店番してます」と行ったところで、潮目が変わり……
古書部長の後藤さんの口から「この店を作ったきっかけはウララさんなんです」との衝撃の一言が!今度はわたしが情報を受け止める側になりました。(この話はいずれまた、あるいはイベントなどでお話しするかもです)
この日のことが発端となって、これまで目に見えなかった七月堂とウララの繋がりが濃く太く見えてきました。
その後、七月堂店内に「出張ウララ」の棚ができました。ウララ店主の宇田智子さんの選書による古書の棚。沖縄の古書や詩の本、なにより宇田さんの著作。そうするうちに彼女の3冊目の本「市場のことば、本の声」(晶文社)が出版されて、サイン本がウララ棚に並びました。
わたしは便乗して、絵はがき(沖縄のモチーフの自作のリトグラフが原画)を販売してもらい、調子にのって原画のリトを飾ってもらったりもしています。
それは宇田さんの店の夕方の風景を絵にしたもので、音楽紙芝居を那覇で上演する際には、この絵を画像投影し、宇田さんの文章「辻占」をわたしが朗読し、ピアノはサトウユウ子さんのインプロヴィゼーションという、みんなのコラボレーションへと発展しています。
このリトを数ヶ月間飾ってくださるうちに、ほかの作品も展示してみませんか?というお話をいただきました。そうは言ってもなぁ、沖縄へ行ってからゆるゆると好き勝手に作りためた版画だし、とためらっているうちに、第一牧志公設市場の建て替えが間近に迫ってきました。6月16日が最終営業日となリマス。公設市場のまん前で営業しているウララへの影響はどうなるのか?たまに店番をするわたしでも感じるくらい、周辺もザワザワとしてきました。店の上に架かっているアーケードが取り外されたら、本も店番も日に焼ける。
市場の風景をリトグラフにしたものも少しずつ増えてきたので、展示をする意味も出てきたのかなと思います。そこで、七月堂での展示を本気で考え始めました。
このことをウララの宇田さんに話したところ、ウララの店頭でも展示をしましょう、と言ってくださいました。6月1日から6月16日(公設市場の最終営業日)に向けて、市場の古本屋ウララ店内でも連動してリトグラフの展示をします。
今回の七月堂での展示は前期と後期に分かれて、4月27日から6月30日までゆるゆるとやってます。
前期:4月27日~5月31日(これまで扱っていただいている絵はがきの原画を中心に)
後期:6月1日~30日(「市場」をテーマにした展示を行います)
そしてイベントも!
6月9日(日)には朗読とギターによるイベントをすることが決まりました。東京へ行きます。
東京近辺のみなさんは七月堂古書部へ、那覇近辺のみなさんは市場の古本屋ウララへ、ぜひ見にいらしてください!