花瓶門のナゾ

ちょうど去年の今ごろ、台北のオンライン古書店の胡蝶書坊さんと不忍ブックストリート青秋部長とメールでやりとりしながら、台南で見かけた花瓶型の門について、情報交換をしていました。
というのも、胡蝶書坊さんは台湾在住10数年、青秋部長は台湾に定期的に通って「家跡」写真を撮りためては展示しているので、きっと壁や塀に花瓶型にくり抜かれた出入り口のこともよく知っているに違いないと思ったからです。

彼らは自ら歩いた場所の記憶をたどって、いろいろ探し出してくれました。
丸や八卦にくり抜かれているのはまだわかるのですが、花瓶型のみならず、壷型や瓢箪型まで出てきて、ナゾは深まるばかり。
そのうえ、塀に窓のようにくり抜かれたものには、桃や蝙蝠など、中国のめでたい文様が多く、ますます分からなくなりました。でも、人がくぐれる門は、丸、八卦、壷、花瓶、瓢箪くらいに限られていました。

どうして花瓶門が気になっていたかというと、ちょうどそのころ「月夜のナイチンゲール」をつくる発端となった連載のブルクミュラー鳥ノオト「やさしい花〜ナイチンゲール」に取り組んでいて、ナイチンゲールが部屋の内と外を行き来できる、常に開いている窓のモチーフが必要だったのです。そこで、花瓶門が使えないかと考えました。
台南の三山國王廟で見た花瓶門には、実をつけたザクロの枝がささっていて(門の上の壁にレリーフで)、くぐるとなんとなくいい気分。

結局、連載にはモチーフとしては使わずじまいでしたが。そのあとも気になって、今年4月に台湾へ行ったときも、台湾の古い邸宅や庭園など回って、花瓶門をつい探してしまいました。(写真は、その時撮った台北板橋の林家花園の花瓶門)

瓶の底をまたぐと、別の世界につながっているような気がしなくもなく、ただ贅を尽くしたというだけではないようです。いつか使ってみたいモチーフです。

花瓶門のナゾ
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