こうして荻窪音楽祭のなかで「月夜のナイチンゲール」を上演できることになったのも、もとはと言えば、日本フィルハーモニー交響楽団とのエデュケーション・フェスティバルの仕事がきっかけで杉並公会堂とのご縁ができ、荻窪音楽祭へとつながりました。もとを辿ればマイク・スペンサーとの出会いにまで遡れるのですが、それはまた別の機会に。
というわけで、2008年の《エデュケーション・フェスティバル in 杉並》「わたしのアラビアン・ナイト」のことを振り返って、書き残しておこうと思います。
《エデュケーション・フェスティバル in 杉並》というのは、杉並公会堂を建て直して、新しく生まれかわった2006年に日本フィルとの共催でスタートしたシリーズです。子どもたちが音楽に触れ、創造的なプログラムを体験できて、しかもおとなも楽しめるフェスティバルということで、2006年の第1回は「春の祭典」(ストラヴィンスキー)をテーマに、そして第2回(2008年)は「わたしのアラビアン・ナイト」というタイトルで、「シェエラザード」(リムスキー=コルサコフ)にさまざまな角度から迫りました。わたしはこの回から参加しています。とにかくいろんなことを考えて、盛込めることは可能な限り盛込みました。写真は、そのときのパンフレット(報告書)です。この詰め込みっぷり。
このプロジェクトでは、杉並の小学校へのワークショップにも参加しました。
小学生向けに日本フィルの伊波睦さん(トロンボーン奏者)が「シェエラザード」から抽出した音楽のエッセンスでワークショップを組み立て、子どもたちと一緒に作曲のプロセスを辿ってみたら、「ロシア人のリムスキー=コルサコフも、想像しまくって『アラビアン・ナイト』の世界を音楽にしたんだな」ということが実感できました。
見上げるような大曲と思っていた「シェエラザード」がちょっと身近に思えるようになりました。
もちろんワークショップだけでなく、このときは高円寺のペルシャ料理店の主のボルボルさんの存在も大きくて、お店で料理を食べたり、楽器や絨毯やアラビア文字を見たり、友人を紹介してくれたりして、最後には小学校へも一緒に行って、子どもたちの前で楽器を演奏したり、友人の方がペルシャ語の詩を朗読してくれたこと。これは言葉での説明をあっという間に跳び越えました。旋律や詩の抑揚がシェエラザードのヴァイオリンのテーマと繋がっていることを実感できました。遠いと思っていた国が、近くに思える体験でした。
まだ、いろいろ書きたいことはありますが、このパンフレット(A4版8ページ)はまだ今のところ在庫があるはずですので、日本フィルに問い合わせてみてください。こういう活動を地域で行ってきたことを幅広く知っていただきたいです。
先日、杉並区立中央図書館へ日本フィルが出張コンサート(室内楽)へ行った際には「音楽のススメ」というコーナーが出来ていて、エデュケーション関係のパンフ類も置かれていたようです。常設になるのかわかりませんが、でもツイッター上で設営の様子を見て、うれしかったです。
さて、このあと、2009年の「ピーターと狼の巻」へとつづいて行きます。
日本フィルハーモニー交響楽団のホームページ ☞ http://www.japanphil.or.jp/
ペルシャ料理レストラン ボルボル のホームページ ☞ http://bolbol.jp/